組織
NLD(国民民主連盟 / National League for Democracy)
赤色、赤字に闘う孔雀と星をあしらった党旗。アウンジー氏、ティンウー氏とアウンサンスーチー女史が創設。2016-2021年 政権を担った政党。2020年11月総選挙でも圧勝。軍から敵視され、関係者や事務所等が弾圧されている。NLDの象徴として「孔雀」が描かれることもある。
象徴的によく描かれる人物としては、アウンサンスーチー国家顧問。ウィンミン大統領。
参照サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E6%B0%91%E6%B0%91%E4%B8%BB%E9%80%A3%E7%9B%9F
国民統一政府(National Unity Government 通称 NUG)/CRPH
日本の新聞や報道では挙国一致政府と表現される事もある。選挙で選ばれた議員から成る連邦議会代表委員会(CRPH)が2021年4月16日樹立した政府。国民の支持は厚い。軍に狙われており、表に出ることができないためオンライン上での活動を余儀なくされている。特定の人物が描かれることはあまり多くないが、大統領、外務大臣、Dr.SaSa、KyawMoeTun国連大使 等は記者会見や外交の場面でよく登場する。
引用:
NUGウェブサイト https://www.nugmyanmar.org/en/
国民防衛隊(People Defence Force 通称 PDF)
NUGの下で、国民を守るため、自衛組織として形成された部隊。クーデター軍に抗う若者や軍を抜けた兵士·警察が構成員となっている。都市部を離れ、地方で数ヶ月の戦闘訓練を受けた若者達も多く参加する。KIA(カチン独立軍)やKNLA(カレン民族解放軍)といった民族武装勢力が訓練しているようで、服装は迷彩服や所属する武装勢力の衣装を身に着けている事が多い印象。
ミャンマー国軍(タッマドー Tatmadaw):
色としては軍服等で用いられる緑色が用いられる事が多い。またモチーフとしては、軍服、軍帽、軍用車両、軍靴などが用いられる事もある。
軍人を象徴的に描く際には、緑色の軍服や、上官のベージュの軍服が描かれる事も多い。とりわけ軍靴は「軍靴にはひざまずかない」つまり、軍には降参しないとする意味の表現に用いられる事もある。
クーデター後、ミャンマー人の間では「クーデター軍」を「犬」と皮肉るケースも目立つ。。
また、描かれる事が多い人物としては、クーデター後に全権掌握をした、ミンアウンフライン国軍総司令官(メガネが特徴的)。他には、軍の報道官として記者会見に答えるゾーミントゥン少将が描かれる事も多い。
警察:
内務省は実質的に軍の支配下にあり、それに属する警察も国民を守る側ではない、と見られており、批判の対象ともなっている。グレーの特徴的な制服を着て、ヘルメットを被っているため、警察の象徴として描かれる際には、制服とヘルメットが描かれる事が多い。
ASEAN:
ASEANの旗のモチーフは、10本の稲穂で、10カ国の結束を意味する。その黄色い部分だけを取り出してキャラクター化して描かれる事もある。
国際連合(United Nations / 略称 UN):
淡い青の背景に白い国連の紋章が描かれている。オリーブの木の枝(平和の象徴)を交差させた輪の中に北極を中心とした世界地図が描かれている。
象徴
3本指敬礼:
映画「ハンガー·ゲーム」で革命の象徴として用いられたのがきっかけ。
タイや香港等、独裁に対する抗議の意志を示す際に掲げられ、ミャンマーでも広く用いられている。
とりわけミャンマーでは、はじめに医師や看護師が三本指を掲げて、CDM(市民的不服従運動)を行ったため、白衣やコロナ対策の青色の防護服(PPE)と共に描かれることもある。またその際に、NLD支持を示す赤いリボンが一緒に描かれる事もある。
医療関係者に加えて、教育関係者のCDM参加も約15万人に上っていると現地メディアに報道されている。
鍋叩き
ミャンマーの伝統で金属音を鳴らして悪霊退散をする、というものがある。クーデター発生後、毎晩夜8時から、全国各地で一斉に鍋やフライパンを叩いていた。そのうち、鍋叩きをする家を目掛けて路上から軍が銃を撃つようになり、最近ではあまり見られなくなっていたが、。12月5日の軍車両が丸腰の抗議デモ隊に後ろから猛スピードで突っ込んで死傷者、拘束者を出し、その翌日12月6日から一部の地域では鍋叩きが復活した。
歌
1988年の独立運動の時につくられた革命の歌「カバーマチェーブ」は今回の抗議活動の中でもよく歌われていた。
今回のクーデター後に作曲·作詞された歌はたくさんあり、下記 Youtube リンクには 2021年12月11日までの革命に関する歌(41曲)が集められている。
Spring Revolution Songs – YouTube
伝統的なもの
国旗の扱い:
現在のミャンマーの国旗は、上から黄色、緑、赤に塗られた三色旗の上に、大きな白い星が中央に配置されている。2010年に軍事政権下で制定されたのが現在の国旗であるため、軍事政権に反対の意を唱える人達の間では、この国旗を用いるのを避け、独立当初の1948年頃に用いられていた国旗を掲げるケースもある。(下の国旗)
※ミャンマーの国名も、1989年に軍事政権が英語表記をBurmaからMyanmar へ変更したが、「ミャンマー」という語はすべての民族の総称であるからという変更理由は軍政によって作り出された根拠に過ぎず、軍事政権の正当性を否定する人物・組織の中には、あえて「ビルマ」の表記を用いるケースもある。
仏教:
同じ仏教ではありながら、日本の大乗仏教と異なる上座部仏教を信仰する。出家して修行を積むことを通してのみ悟りに達することが出来るとする考えで、男性の仏教徒が20歳までに必ず1回は数日間にわたり出家する慣習が残る。その際には、村や集落単位で、得度式なども盛大に行われる事が多い。なお、宗教への冒涜に関しては、十分に配慮する必要がある。
上座部仏教とは
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E5%BA%A7%E9%83%A8%E4%BB%8F%E6%95%99
僧侶·袈裟
ミャンマーには信心深い仏教徒も多い。出家しているものの証である、えんじ色の袈裟が特徴のひとつとして描かれる事もある。また托鉢もミャンマー仏教ではお馴染みの光景。
一般に僧侶は政治と一定の距離を置くが、クーデターに抗議する僧侶たちもおり、彼らが描かれる事もある。クーデター後、オンラインLIVEで抗議に関して説法する有名なヌェウー僧侶(通称)もいる。 ※一方で、軍寄りの僧侶もいる。
※仏教徒のビルマ族のみを優越視する僧侶として有名なウィラトゥ師。
参考記事(英語)現地メディア The Irrawaddy による記事
パゴダ:
とりわけヤンゴンのシュエダゴン·パゴダの特徴的な形状はよく描かれ、ゴールデンロックとして知られるチャイティーヨ·パゴダが描かれる事もある。
竪琴
参照先:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Burmese_Harp_in_Manihoto.jpg
竹山道雄氏が執筆した有名な文学作品「ビルマの竪琴」をイメージする日本人も多い。しかし、ビルマの伝統楽器「竪琴」の扱いには注意が必要な点もある。
ミャンマー仏教では、僧侶が楽器に触れることは禁じられており、ミャンマーの人から見れば、仏教への冒涜とも取れる。伝統楽器である竪琴自体を描く事は問題ないが、僧侶と竪琴の組み合わせは避けた方が無難。
サイカー
自転車の横に座席が作られた乗り物。速度は自転車かそれ以下だが、ちょっとそこまで買い物に、といった近距離移動などの際に使われることもある移動手段。都市部ヤンゴンでは一般庶民の足となっている。地方で見ることは少なく、バイクが乗り入れ禁止となっているヤンゴンの中でも、ダウンタウンエリアで見かける事が多い。特徴的な形状で、愛らしい。
弁当箱
ステンレススチール製の三段弁当箱は一般的に使用されている。小中高生や教師、公務員といった人たちがこのお弁当を持っていき、友達や同僚と一緒にお弁当のおかずを分け合って食べる習慣がある。ごはん、カレー、野菜炒めといった3種類をこの三段弁当箱に入れるのが典型的なランチメニュー。
民族衣装
巻きスカート状の伝統衣装。男性が身につけるものを、パソー、ロンジーと呼び、女性が身につけるものをタメインと呼ぶが、すべてを含めてロンジーと呼ぶこともある。
また各種の制服もロンジーが多い。例えば、小学校や中学校の制服は、上は襟付きの白シャツ、下に緑色のロンジー。市役所の公務員は上が白シャツ、下は紫のロンジー、看護師が上は白ブラウス/シャツ、下が赤のロンジー、大学は学部によって、下が水色や紺色のロンジーなどとなっている。
他方でロンジーの柄に、民族の特色があり、柄を見れば、◯◯族とわかるケースもある。
少数民族衣装
民族によって、式典等の公式な場で、伝統的な衣装を着用することもある。
例えば、カチン、カレン、チン、シャン、パオの民族衣装などは特徴的。
(参考イメージ)
玉座
ミャンマー全国がイギリスの植民地支配下になったのは1886年で、それまでは王朝時代があったため、一国の首脳の座を「玉座」に例えて表現することがある。例えば、軍の総司令官に対して「玉座の欲望に駆られてクーデターを起こした」という表現や「玉座」をメタファーとして「椅子」と言う場合もある。そして、最近、総司令官の奥さんが僧侶より高い椅子に座っている写真が出回ったことをきっかけに「椅子が大好きな総司令官夫婦」という一コマ漫画が描かれたこともあった。
動植物
象
山の中で暮らす象が多くおり、チーク材や荷物運びや人の移動に使われるような地域もある。なお、ごくまれに見つかる白い象は、国家に平和と安定、繁栄をもたらす象徴とされる。
孔雀
NLDの旗にも描かれているが、ミャンマーでは国鳥扱いされている。高貴なものの象徴や、王位の尊厳、太陽の鳥、として描かれることもある。コンバウン王朝時代や英領時代には、国旗に緑の孔雀が用いられていたこともある。
獅子
シュエダゴン·パゴダ等パゴダの入り口に、日本の狛犬のような感じで、配置されている。
犬
軍人を皮肉る際に描かれる事も多い。日本や他国のように可愛いペットとして描かれる事は少ない。
パダウ
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Burmese_padauk1.jpg
ミャンマーの国花。4月頃、ミャンマー暦の新年にあたる、水祭りの前後、雨の降った翌日に、黄色い花を咲かせる。日本の桜のように咲く期間はとても短く、ほぼ1日で花が散ってしまう。パダウの花が咲いた日には、町のいたるところで黄色い花が出回り、髪飾りや花瓶などで町を黄色く彩り、町中にはいい香りが漂う。
仏教徒は仏壇に絶えず花を供えている。(下記はパダウとは別の花)
バラ
アウンサンスーチー氏を象徴することがある。
フルーツや食べ物
パイナップル/マンゴスチン:
手榴弾
なす/バナナ:
ピストル
リップスティック:
弾丸
バナナのつぼみ:
ロケット弾
スイカ:
外は緑(軍)、中は赤(NLD)という特徴から、軍に所属もしくは軍人の家族だが、情報をリークするスパイのような存在として語られる事もある。(イラストで用いられるケースはまだあまりない)
紅茶:
イギリス植民地時代の文化が残り、コーヒーよりも紅茶が好まれる。ラペイェという紅茶にコンデンスミルクを入れた飲み物を、町の喫茶店で集まって、雑談をしながら飲む文化が定着している。ラペイェの器、喫茶店の雰囲気、テーブルや椅子の形状などに特徴があり、そうした部分が描かれる事もある。
(参考イメージ)
水祭り(ダジャン):
ミャンマー旧暦の新年イベントのひとつ。隣国タイのソンクランのように水かけ祭りと呼ばれる事もある。水をかけあって、旧年の悪いものを流そう、という文化として国民に愛されている。しかし、2020年はコロナ、2021年はクーデターでほとんどの国民が参加していない。
黒い服:
革命を志す側が身につける衣装となっている。最近、国内では黒服を身に付けているだけで連行されるから黒服を着て外出するな、と注意されることもある。
象徴的な人物:
軍から離脱した兵士
国民の側につき、指導等を行う人物がいるが、その中でも1名は顔を出しており、描かれることもある。
ピェリャンアウン選手
サッカーミャンマー代表として日本に渡航した際に3本指を掲げ、母国へ帰る直前に難民申請をすることを決意。現在、難民として横浜で暮らすフットサル選手。
エンジェル
「Everithing will be OK」と描かれたTシャツを身に着け、軍の射撃により亡くなった女性。
国連前で立つ少年
「How many dead bodies needed for UN to take action? (国連が行動するためには、あと何人死ねばいいのですか?)」との看板を掲げて、立ち続けていた。
星
民主主義を求めている側は、2021年クーデター後の革命の中で亡くなった人たちを英雄とし、星と呼んでいる。
ビルから飛び降りた5名。軍に追われ、捕まるなら死ぬ、といった覚悟で飛び降りた少年少女を描いた絵が多く出回った。
アウンサン将軍
アウンサンスーチー女史の実の父であり、国民からは建国の父として愛されている。日本の支援を得て、現在の国軍の礎となるビルマ独立義勇軍を創設した。英国からのミャンマー独立交渉を進めた人物ながら、独立半年前に暗殺された悲劇の英雄としても知られている。
今も国民から愛され続けており、紙幣にも描かれ、全国各地にアウンサンの名前を冠した道路が存在する。像が各地に存在する。軍の創設者として軍服姿で描かれる事もあれば、平服を着た文民として描かれる事もある。
参考サイト
NHKアーカイブ https://www.nhk.or.jp/special/myanmar/
Raise Three Fingers https://www.threefingers.org/